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小島アジコのブログです

『君たちはどう生きるか』を見て

この記事には『君たちはどう生きるか』のネタバレが含まれています。





公開翌日の土曜日(7月15日)、近くの映画館でひとりで見てきました。
劇場には子供連れが多く、アオサギがうんこをするシーンや、動きが愉快なシーンで子供たちがげらげら笑っていました。上映が終わった後、周りの観客はスタッフロールに流れたあいみょん木村拓哉の名前に驚き、そのことを話題にしていました。内容については、よくわからない、といったような様子でした。
私は、その映画の内容に大変感銘を受け、しかし、それほど面白くなかったな…とその時は思い、その後、映画の中に現れる象徴や、引用された絵や門の意味、神話から借用したであろう地下世界や火に焼かれる姉と石になる妹、監督の人生と環境とそれに比類するキャラクターたちの意味するところ、今までの映画からの引用や、諸星大二郎の影響、おそらく監督が小さいころに読んだ児童文学の自由な発想と人生を描く物語、などを、気が付いたら物凄い文字数、プライベートなdiscordに投稿していました。見た瞬間はあまり面白くなかったと感じたのに、その映画について語る言葉が途切れず、次の日は脳が溢れたようになって軽く寝込んで鬱になってしまいました。
しかし、それからしばらくたち、当日の熱も冷め、こうして、ここに、『君たちはどう生きるか』の感想を書いています。
discordに延々と文章を書くくらい影響を受けて、脳を揺さぶられいて、たくさんの言葉を費やして、その状態だけみたら『すごく面白かった』のでしょう。客観的に見れば。でも、自分は、面白いと思えなかった。不思議です。
何故面白いと思えないか、延々とdiscordに書きました。この物語を解体しようとしていくつもの解釈をしました。(ここら辺の文章は今はもう意味がないと思うのでここには書きません)
そして、しばらくたち、今も、物語は自分の中でコロコロと渦を巻いていますが、しかし、解体しようという試みは諦めました。そして、ああ、いい映画だったな。と今は思っています。

この映画について、たくさんの人が、たくさんの考え方によって解釈をしようとするでしょう。そして解釈できるでしょう、私みたいに。そして、解釈の結果、一つだけ残ったものがありました。
ラスト、主人公たちが、インコのうんこまみれになって、大笑いします。
この映画は、これだけです。解体してしまった結果、残ったのはこれだけです。

君たちはどう生きるか。の答えは、結局、それぞれの生きていく場所にしかなくて、そこで、ウンコまみれになって笑って生きる、そういうことだと、私は思いました。